先日、ひょんなことから地元の奈良建築ツアーに参加してきました。
そこで一つ気になったことがあり、
少し調べてみたので備忘録的に記しておこうと思います。
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舞台は奈良斑鳩町の法起寺(*ほうきじ)。
コスモスの時期だったので、西日バックの法起寺をおさめようと
カメラ抱えた人たちが畦道に整列していました。
今年は例年に比べてコスモス薄だったようですが、秋の一頁を見た気がします。
*【法起寺】の読み方について
以前は「ほっきじ」と読まれていましたが、1993年法隆寺・法輪寺と共に世界遺産登録にあたり「法」の呼び名を統一しようということで正式名称が「ほうきじ」になったようです。
(春日野奈良観光HPより抜粋)
法起寺三重塔:飛鳥時代に建立された現存する日本最古の三重塔。国宝。
ふと気になったのは三重塔のたたずまい。
奈良市にある興福寺五重塔を小さい時から見ていたためか、
どうも違和感を感じた見学でした。
(境内では写真不可だったので、遠景しかないのが残念ですが)
帰ってから早速調べてみると、納得する要因がありました。
キーワードは逓減率(ていげんりつ)。逓減率は塔のプロポーションを決める数値で、初層に対する最上層幅の比率を示したもの。例えば、初層幅6Mで最上層が3Mの場合の逓減率は「0.5」となるわけです。
法隆寺五重塔立面図・断面図
(『日本建築史図集(彰国社)』より抜粋。一部追記)
ここで法起寺三重塔と同仕様の法隆寺五重塔(世界最古の木造五重塔)を例に挙げると、法隆寺五重塔の逓減率は「0.5」。法起寺三重塔の初層、二層、三層の平面規模はそれぞれ法隆寺の初層、三層、五層のと同程度のため、法隆寺五重塔よりも法起寺三重塔は高さの割りに、そそり立っている印象を受けるのです。
一方、私が見慣れた興福寺五重塔の逓減率は「0.61」。つまり逓減率「0.5」に比べて、背が高い印象を受ける(どちらかと言うと寸胴?)ということ。「0.5」は初層と五層の差が大きい(下のボリュームが大きい)分、安定している印象。どうりで違和感を感じたわけです。(ほかにも軒の出も一つの要因かと思います)
すっきりしてまた興福寺五重塔を見て落ち着こうを思います。
普段何気なく見ているものの「印象」には、
「要因」があるということを再認識した一日になりました。
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仕立建築舎 平賀
コメントをお書きください
りょうペリーの (火曜日, 12 12月 2023 19:25)
参考になりました
仕立建築舎 (火曜日, 12 12月 2023 21:22)
りょうペリーの さま
ブログをご覧頂き、またコメント頂きありがとうございます。
また覗きに来てください。ありがとうございました。