久々の更新です。
すっかり春の前倒しで、桜も終盤なこの頃ですね。
昨年10月から受講していた奈良県ヘリテージマネージャー講習(正式名称:地域歴史建造物専門家育成講習)、全60時間を修了し 修了証 を受け取って早1ヶ月。気づけば年度を跨いでいました。
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ヘリテージマネージャー??少々気になれない単語かもしれせん。
「地域に眠る歴史文化遺産を発見し、保存し、活用してまちづくりに活かす能力を持った人材」のことをいいます。そのヘリテージマネージャー(通称:ヘリマネ(HM))をの養成・育成講習会がこの講習会です。
講習会の名称や受講条件などは様々ですが、2002年の兵庫県を皮切りに2017年度時点で5~6県を除く全国各地で実施されています。※二ヵ年に一度開催の県や不定期開催など講習会形態は様々です。
▼ヘリテージマネージャー(以下、HM)誕生の背景
阪神・淡路大震災(1995)時に、"無指定"だった建物が姿を消してしまったことを受け、翌年の1996年に「登録文化財制度」がスタート。国や市町村により「この建物には価値がありますよ。これからも保存していきましょう」と"指定"された建物は様々な補助を受けながら守り抜かれたのに対し、"無指定"だった建物が消える運命となった教訓から、制定されました。
決して "無指定"な建物に価値がない という訳でなはないということ。
※登録文化財制度
近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化等により,社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたもの(文化庁HPより一部抜粋)
その登録文化財の保全を担う人材が少ないことを解消するために、兵庫県がHM講習会(第1期)を開講しのたが2002年1月。
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そんな講義を、私は2017年度の講習会を受講しました。
色々あって地元である奈良県と、兵庫県の2県同時受講。
(このあたりはまた改めてお話ししたいと思います)
どんな建物でも価値がある
何かを建てたいと思う人(施主)がいて、
技術でもって実現する人(施工者、設計者)がいる
そして使ってきた人(利用者)たちがいる
それだけで文化的活動の場としての価値がある
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面で残らず点在してしまっているものには
現時点で残っているものに対する価値
群で残っているものには
面として残っているものに対する価値
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決して過去のものに対してだけではない
これから建てるものも同じこと
即物的価値だけではない
価値のない建物なんてない
講習最終回で「身近な文化財を探す」という演習に対して、受講者それぞれ見つけてきた対象物について発表した際、講評頂いた奈良市文化財課の山口氏のコメントです(細かな言い回しは多少違うかもしれませんが)。
「建物の価値があるか自分では明確に説明できないけど」と前置きのある発表を受けて、総評でお話しされました。ただただ淡々と、でも熱くお話しされたことを留めておきたくて。
決して、古い建物に対してだけでなく、これからつくりだそうとする建物に対してもつながるお言葉。これからの活動で大切にしていきたいと思います。
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仕立建築舎 平賀
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