先日、久々に利用した奈良のJR京終駅のこと。
普段はあまり利用しない、こちらの駅舎。
どこか哀愁漂う雰囲気をまといつつ、現在外壁改修の工事真っ只中。
これまでの、これからを、
紡ぐ改修工事が建物の顔を作り上げています。
「京終」という難解な地名にも少し焦点を当ててみたいと思います。
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まずは駅名について。
一般的に難しい読みとされる地名の1つ、「京終」と書いて「きょうばて」と読みます。
南京終町や北京終町も存在するので、初めて地名を見る方は「北京-終町?」「南京-終町?」と北京と関係があるのでは、と思われるかもしれません。
平城京の北東には「外京(げきょう)」と呼ばれる区域があり、
その外京の南の端に位置した一体を「京(平城京)の果て」、「京終」と読んだのがこの地名の由来です。
上図で分かるように、平城京は真四角ではなく、北東角に出っ張りがありました。この出っ張りこそが「外京」と呼ばれる区画です。その「外京」の南あたりが「京終」地域です。
平城京の外だから「外京」、その果て、終わりだから「京終」
何とも合点のいく地名で、一度耳にすれば忘れなさそうですね。
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さて、駅舎を見ると外壁改修の工事中のため少々痛々しい様子です。
既存のピンク色のペンキを剥がしている最中でしょうか。
少し興味をそそる駅舎のお顔を見付けました。
パッチワークのような外壁。窓にベニヤに・・・
こちらは駅舎の正面から回り込んだ横の部分です。
現在工事中のためか、一部ベニヤで塞がれている箇所がありますが、窓の上に黒い斜めの筋が見えます。右側の窓の真ん中を貫通している斜めの筋ですが、元々片流れの屋根(小屋?)がここの面に接していたのかもしれません。左側の黒い四角はポストでも設置されていたのでしょうか。色々と想像しながら桜井へ向かった1日となりました。
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普段利用している駅舎など、建物の歩みを想像しながら見ると楽しいかもしれません。
改修を経た、現在の建物。これがまさに建物自ら語る履歴ですね。
私も「京終」駅の改修の様子を楽しみにフラッと立ち寄りたいと思います。
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仕立建築舎 平賀
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