タチバナ商会|昭和初期の照明を求めて

先日、京都岡崎のタチバナ商会さんへ行ってきました。

こちらは大正から昭和初期の照明を取り扱われている、あかり専門店なるお店です。

 

ほんの少しだけ躊躇してしまう入店方法でしたが、格子戸を二度ほど潜るとタイムスリップしたような空気感の店内に誘われました。躊躇したのはお店というよりも、お住まいのようないでたちだったためです。(後から分かったのですが、こちらのお店は大正15年に建てられた町家を改装したお店だったようで、お住まいのように感じたのは必然でした)

 

 

天井一面に吊下げられた笠たち。
天井一面に吊下げられた笠たち。

 

いきなり現れた天井一面の照明に驚きつついざ入店。

一つひとつに店主さんの手書きのコメントが添えられています。

ほっこりするコメントも楽しみつつ・・・

 

何よりも驚いたのが当時の技術の高さ。

持たせて頂いてびっくり!とっても軽いのです。

強度と軽さ(薄さ)のせめぎ合いに緊張感を感じたひと時でした。

 

 

平皿のようなこちらの笠は当時の一般家庭でよく見かけられたもの。マットな白色のガラスでできています。孔の切り口部分を見ると、ここも白色であることが分かります。

最近のメーカー品でも同様のものが見られますが、「今のものは透明ガラスに白色の塗料を塗っている。切り口部分を見て透明か白色かで判断できる」と店主さん。当時のガラスの素材で石玉(ぎょく)を使用しているからどこを切っても白色だそうです。今はこの材料が取れないんだとか。

 

 

「絵です。当時は写真は高価なものだったためカタログ作りには絵も描く職人さんがいました。鉛筆で描いたとてもリアルな絵をごらん下さいませ」
「絵です。当時は写真は高価なものだったためカタログ作りには絵も描く職人さんがいました。鉛筆で描いたとてもリアルな絵をごらん下さいませ」

 

これは当時の照明カタログ。写真ではなく絵です!手描きです!!

カタログの電子化が進んでいる今では考えられませんが、限られた中で生み出された技術や職人さんは確かに存在していた、という強いメッセージのような気がしてきます。

 

 

照明だけでなく、沢山のお話しを伺って気づくと1時間半ほどお邪魔していました。途中、お茶を出して頂いたり二階に案内してもらったりとあっという間の滞在でした。

 

店舗兼店主さんの仕事場。はんだごてから色々な道具が整然と並んでいました。
店舗兼店主さんの仕事場。はんだごてから色々な道具が整然と並んでいました。

 

当時の職人さんの技術の高さ、それらを大事に引き継ぐ職人さんがいて、時間の蓄積は技術の、人の蓄積でもあるのかなあと感じた訪問となりました。ふらっと立ち寄りたいスポットです。皆さんも是非、ユニークな店主さんとおしゃべりしに訪れてくださいね!

 

仕立建築舎 平賀

 


タチバナ商会 さん

 京都市左京区岡崎南御所町22-11

 電話 075-762-0087

 営業時間 12:00~18:30

 日曜定休

 (下のパンフレットより抜粋)

お店で頂いたパンフレット
お店で頂いたパンフレット